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相続登記の期限(期限はないけれども...)


 相続登記には、いつまでにしなくてはならないという期限はあるのでしょうか?

 相続登記をしなくてはならないという義務はあるのでしょうか?  結論から言うと、相続登記に期限はありません。

 また、相続登記をする義務もありません。

 相続登記をしないからといって、過料や罰金のようななんらかのペナルティが課せられることはありません。  実際、相続登記をしないでそのままにしておく方も少なからずいらっしゃいます。

 相続登記をしないのには、話し合いがまとまらないうちに、時間が経過してしまったり、登録免許税の節約のために登記をしなかったりと、様々な理由があります。

 何代も前に亡くなった方が所有者として登記簿に載っていることは、決して珍しいことではありません。

 相続登記をしないでそのまま放っておくと、様々なデメリットが生じる可能性はあります(デメリットについては後述します)。

 ですので、相続登記をしないことは、何らかの理由がある場合を除き、あまりお勧めはできません。

 ただ、相続登記には、いつまでにしなくてはならないという期限のようなものは、現在の法律上制度上の義務はないということにはなります。  しかし、依頼者の方や相談者の方とお話していると、相続登記に期限があるというように誤解されている方が結構いらっしゃるという印象を受けます。  まず、相続登記を3ヶ月以内にしなくてはならないというふうに勘違いされている方がいらっしゃいます。  相続において3ヶ月と言えば、相続放棄のときに問題となる熟慮期間というものがあります。  確かに、相続の放棄をする場合、原則として3か月以内にする必要があります。

 しかし、3か月以内に相続登記をしなくてはいけないという条文はありません。  あくまで、放棄したいのなら3か月以内にしなさい、そうでないと相続することを単純承認したことになり、それ以降に相続放棄をすることはできませんよということです。

 なお、相続放棄は、遺産分割協議の結果、財産を引き継がないこととは全く異なります。

 相続放棄には期限はありますが、遺産分割協議の結果遺産を引き継がないことには、期限はありません。

 もうひとつ、相続登記を10ヶ月以内にしなくてはならないというふうに勘違いされている方がいらっしゃいます。 

 10か月というのは相続税の申告、納付期限です。

 しかし、これまでに相続登記をしなくてはならないということはありません。

 勿論、税金の納付までに相続登記をする(もしくは実際に相続する割合が決まっている)ほうが、誰がいくら相続税を払うか明確になるという面はあるかもしれませんが、少なくとも、登記法上、10か月以内に相続登記をしなくてはならないということは一切ありません。  というように、相続登記にはいつまでにしなくてはならないという期限はありません。

 ただし、いつまでも放っておくと様々なデメリットが生じうるので、早めに相続登記をすることをお勧めします。

 最後に、相続登記をしないでいることのデメリットをいくつか挙げておきます。

 一つは、知らない間に法定相続分による相続登記がされてしまう可能性があることです。

 法定相続分での登記は、相続人全員の同意がなくても、相続人のうちの一人の申請ですることができます。

 また、相続人のうちの誰かの債権者が、相続人の同意なしに相続登記をすることもできます(これを代位登記といいます)。

 例えば、自分が遺産を全部もらうことになっていたはずなのに、話し合いや登記をせずに放っておいたら、法定相続分の登記がされてしまい、しかも、他の相続人の持分が第三者に売却されてしまったというようなケースが考えられます。

 遺産分割前なら、民法909条で、遺産分割協議後なら民法177条で、第三者に対して、自分の相続分を超える部分についての所有権を主張できなくなって支編む恐れがあります。

(参考)

民法 第909条(遺産の分割の効力)

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 また、相続登記をしないでいるうちに何代も代が変わってしまうことも考えられます。

 そのような場合、相続の当事者がネズミ算式に増え、解決が困難になることが考えられます。

 当事者が数十人に及び、海外にいる人や行方不明の人がいるというような場合、解決はかなり困難なってしまいます。


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