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相続・遺贈と農地法の許可


 農地を売買したり、賃貸したりするときには、都道府県知事や農業委員会の農地法所定の許可が必要になります。

 具体的には、農地の売買を原因とする所有権移転登記の際には、農地法の許可が下りたという許可証を添付する必要があります。

 農地を護るために、このような制度(規制)があるのです。

 この農地法所定の許可証の添付は、所有権移転登記に常に必要なわけではなく、許可証の添付が不要な場合もあります。

 農地法の許可が不要な代表的な例が相続です。

 また、遺産分割や遺留分減殺も農地法の許可証の添付は不要とされています。

 では、相続ではなく、遺贈だったらどうでしょうか?

 遺贈の場合、特定遺贈か包括遺贈か、相続人に対する遺贈か相続人以外の人に対する遺贈かによって、結論が変わってきます。

 まず、特定遺贈と包括遺贈の違いについて簡単に説明したいと思います。

 包括遺贈とは、財産の二分の一を遺贈するというように、特定の財産ではなく、全財産の割合に応じて遺贈するタイプの遺贈です。

 一方、特定遺贈とはどこどこの土地を遺贈するというような特定の財産を遺贈するというようなタイプの遺贈になります。

 まず、包括遺贈の場合、農地法所定の許可は不要になります。  受遺者が相続人である場合でも、相続人でない場合でも同様です。  つまり、包括遺贈の場合受遺者が誰であれ、農地法の許可は不要ということになります。

 特定遺贈の場合はどうでしょうか?

 特定遺贈の場合、受遺者が相続人かどうかで変わってきます。  受遺者が相続人の場合、農地法所定の許可は不要です。  受遺者が相続人でない場合、農地法所定の許可は必要です。

 つまり、

特定遺贈で、かつ受遺者が相続人でない場合のみ、農地法所定の許可が必要

ということになります。

 なお、以前は相続人に特定遺贈するときにも農地法所定の許可が必要とされていました。

 平成24年12月14日法務省民二第3486号という通達によって、扱いが変わり、現在では許可は不要とされています。

 このように、登記実務は、法務省の通達一つで制度が変わってしまうことがあるので注意が必要です。

 特定遺贈の場合の農地法の許可の要否は、登記や法律についての古い情報を利用する場合には注意が必要だることの代表例だと思います。

 ネットで相続や登記法律の情報を得る方も少なくないでしょうがこれらの情報を得る場合、その情報が最新の情報かどうかに常に留意する必要があるのではないでしょうか。


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